野菜に季節感がなくなったとよくいいますが、鳥取ではまだまだ捨てたものではありません。板場には田芹・ワラビ・ツクシ・ タラの芽・少し遅れて竹の子と、春の野菜が集います。また山ウドは、作りウドと違い白く食べられる部分は少ないのですが、野生の香りと歯ざわりは抜群で す。
暖かくなったころ、調理場の皆と山へ入り、山ウドとかフキノトウ・葉ワサビ等を採りに行くのも楽しみの一つ。山ウドを採ったらすぐに皮 をむき、岩清水で洗うと薄い油の膜が取れます。かじると少しほろ苦い味ながら、後ひくうまさです。濡れ新聞にウドや竹の子(スズコ)を田舎味噌を少し入れ て包み、焚き火で蒸し焼きにしたら、一流の料理屋にも負けぬうまさ。心を許す友と山遊びし、酒盛り…人生最高の贅沢じゃないでしょうか。